NOTE / 2026.10.18
バックテストは好成績なのに、リリース直後から負けるのはなぜ?
公開 2026.10.18
バックテストフォワードテストEAの選び方
「バックテストではきれいな右肩上がり。なのに、リリースされた途端に負け始める」。EAでは、こうしたことが起こります。
過去のデータで出た成績と、これからの相場で出る成績は別物です。 主な理由は5つあります。
1. 過去に合わせすぎている
設定や条件を何百、何千通りも試せば、偶然その期間にぴったり合う組み合わせも出てきます。その一番良い結果だけを選ぶと、将来の実力を高く見積もりがちです。これが過剰最適化(カーブフィッティング)です。研究でも指摘されています。
負けた年だけ止める、特定の過去日付だけ取引しない、といった後付けの条件でも、曲線はきれいになります。しかし、未来の負ける日を同じように知ることはできません。
リリースがEAを壊したというより、開発中に選び抜いた好成績を、初めて未調整の相場で試した結果という場合があります。
2. テスト中の値動きが実際と違う
MT5の「1分足OHLC」や生成ティックは、実際に配信されたティックと同じではありません。バーの途中で細かく売買するEAは、価格が動く順番の違いでエントリーや決済が変わります。
特に短期スキャルピングは要注意。簡易モデルでの好成績は、実ティックでも確認する必要があります。 実ティックの欠損時には生成ティックが使われる場合もあるため、設定名だけでなくログも確認します。MT5公式の説明
3. コストと運用環境が違う
本番ではスプレッドの拡大、手数料、スワップ、注文価格と約定価格のずれが損益に影響します。ブローカーの配信価格やサーバー時刻、VPSの通信状態、EAの設定差でも取引は変わります。
例えば、コスト控除後の平均利益が1回200円でも、実運用で追加コストが平均300円かかれば、差し引き100円のマイナスです。これは説明用の例ですが、小さな利益を積むEAほど差が響きます。
MT5では手数料や通信遅延などを設定できます。ただし、実ティックを使っても本番の約定を完全に再現できるわけではありません。MT5公式のテスト設定
4. 得意な相場が続くとは限らない
トレンドで稼ぐEAもあれば、レンジで稼ぐEAもあります。開発期間に多かった値動きが減れば、成績は落ちます。長期間のテストでも、利益の大部分が一部の年に集中していないかを見る必要があります。
また、好調な成績を見て公開・導入を決めると、その直後に不得意な局面へ入ることもあります。「公開されたから負けた」とは限りません。
5. 短期間の負けを、長期成績と比べている
長期でプラスのEAでも、連敗や数か月の停滞はあり得ます。数年分のバックテストと、運用開始後の数日を比べても、良し悪しは判断しきれません。
ただし、過去の最大ドローダウンが将来の損失上限になるわけでもありません。負けをすべて「想定内」で片付けず、取引内容とリスクを確認します。
使う前・使い始めに確認すること
- 未使用期間でも検証したか。 結果を見て修正した期間は、もう未使用ではありません。
- 本番に近い条件でも残るか。 実ティック、コスト増、別ブローカーで確認します。
- 取引は設計どおりか。 負けた期間を同条件で再テストし、実際の注文時刻・価格・拒否ログと比べます。
- 損失への対応を先に決めたか。 許容損失や点検・停止の基準を、運用前に用意します。
ここでいうフォワードは、設定を固定して、その後のデモ・実口座で動かす検証です。MT5の「フォワード」機能は、過去データを分割する検証なので区別してください。
見るべきなのは、過去の曲線の美しさより、未使用の相場と実際の取引条件に耐えられるかです。過去の成績は将来の結果を保証しません。
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