NOTE / 2026.10.12
MT5ストラテジーテスターのモデルの違い|実ティックと1分足OHLCで成績が変わる理由
公開 2026.10.12
バックテストMT5ストラテジーテスター
同じEAを、同じ期間、同じ設定でバックテストしても、テスターの「モデル」を変えるだけで成績が変わります。 少し変わる程度のEAもあれば、勝ちと負けが入れ替わるEAもあります。
EAの成績を見るときに、どのモデルで回したかを確かめるべき理由を書きます。
MT5の5つのモデル
ストラテジーテスターの設定画面で選べるモデルは5つです(日本語の表示名はMT5のバージョンで少し違います)。
| モデル | 中身 | 速さ |
|---|---|---|
| Every tick based on real ticks(実ティック) | ブローカーが記録した実際のティックを順に再生する | 遅い |
| Every tick(全ティック) | 1分足から、ティックを機械的に作って再生する | 中 |
| 1 minute OHLC(1分足OHLC) | 1分足ごとに始値・高値・安値・終値の4点だけを使う | 速い |
| Open prices only(始値のみ) | 選んだ時間足の始値だけを使う | とても速い |
| Math calculations(数学的計算) | 相場データを使わない(指標や計算の検証用) | — |
実際の相場に一番近いのは実ティックです。下のモデルほど速く回せますが、相場の細かい動きを省いています。
簡易モデルで成績が良く出る理由
1分の中で何が起きたか分からない
1分足OHLCでは、1分の中の値動きは4つの点でしか分かりません。 同じ1分の中で損切りと利食いの両方に届いた場合、どちらが先だったかはテスターの仮定で決まります。実際には先に損切りに当たっていた取引が、テストでは利食いになることがあります。
全ティック(生成)も、1分足からそれらしいティックを作っているだけです。実際にあった値動きの順番ではありません。
スプレッドの広がりが再現されにくい
生成ティックのモデルでは、スプレッドは足のデータに記録された値を使います。指標発表や早朝の流動性が薄い時間帯に、一瞬だけ大きく広がるスプレッドは再現されにくくなります。 数pipsを抜くEAほど、この差が成績に直接出ます。
実際には約定しない取引が数えられる
短い時間で出入りするEAでは、生成ティックの上でだけ条件を満たし、実際の相場では一度も起きなかった取引が大量に数えられることがあります。
工場の実測例
当工場で検証した、サイト未掲載のEAの例です。
| EAのタイプ | 生成ティック(全ティック) | 実ティック |
|---|---|---|
| 金・M1のスキャルピング(損切り幅が狭い) | PF 2.34 / 取引 25,637件 | PF 0.17 / 取引 713件 |
| USDJPY・M5の時刻で入るEA | PF 1.21 | PF 1.12 |
スキャルピングの方は、生成ティックでは大勝ち、実ティックでは大負けです。取引回数も36倍違います。生成ティックの上でだけ成立していた取引が、ほとんどだったということです。
時刻やバーの確定で入るEAは、モデルの差が小さく出ました。それでもPFは 1.21 から 1.12 に下がっています。
傾向をまとめるとこうなります。
- 損切りが狭いEA、1分足・5分足のスキャルピング:簡易モデルの成績は当てにならない。実ティックでしか判断できない
- 決まった時刻やバーの確定で入るEA、損切りが広いEA:差は小さいが、実ティックの方が少し悪く出る
レポートでモデルを確かめる方法
MT5のバックテストレポートの上の方に、モデルとヒストリー品質が出ます。
- 実ティックで回していれば、モデル欄に実ティックの表記が出て、品質は99%前後になります
- 品質が低い、またはモデルが1分足OHLCや始値のみなら、成績は良く出ている可能性があります
EAの販売ページにレポートが載っていなければ、どのモデルで回したかを作者に聞いてください。答えられない成績は、割り引いて見るのが安全です。
実ティックがない期間もある
実ティックは、ブローカーがその銘柄のティックを残している期間しか使えません。
たとえば XM のマイクロ口座の GOLDmicro は、実ティックが 2024年1月からしかありません。このサイトの Ponkotsu_SP_α の掲載成績が 2024.01.01 から始まっているのはそのためです。
それより前の年を見たいときは、別の口座の実ティックや外部のティックデータで回し、参考値として分けて載せています(金相場の特性 の年次表)。
このサイトの方針
- 掲載するバックテストは、原則として実ティックで回したMT5のレポートの数字です
- 実ティックが使えない期間は、そのことを書いたうえで参考値として扱います
- 簡易モデルは、パラメータの候補を絞る探索にだけ使い、掲載値には使いません
実ティックでも、スリッページや約定拒否、VPSの遅延までは完全には再現できません。実ティックのバックテストも過去の結果で、将来の成績を保証するものではありません。 使い始めは少額・最小ロットでの動作確認をすすめます。
成績の数字そのものの読み方は、EAのバックテストの見方 に書いています。